東京と新潟を結ぶ国道を一台のワゴンがひた走りに走っていた。運転しているのは、自動車修理工の渡辺三郎。東京を正午に発ち、翌日午前10時に新潟駅に到着予定だ。新潟駅には許婚者・道田とし江が待っている。出逢いは三年前、修理工達行きつけの食堂に、とし江は勤めていた。二人は愛の巣を築くため、三郎は東京、とし江は新潟で懸命に働き続けた。三郎は好きな酒も煙草も止めて貯金し、やっと念願のワゴンを買い、新潟で独立する自信を得て結婚することになった。ハンドルさばきも軽く、三郎は山間の国道を突っ走った。車は三国峠の頂上を越え、これから新潟へは一本道。約束の午前10時には充分間に合う。峠を下り、小さな部落にさしかかったとき、手を振っていた男を便乗させた。とし江と結婚できる嬉しさで幸福感にひたっていた三郎は、その見ず知らずの青年にも恋人の話をしてしまうほどの陽気さだった。とこ...
田代玉吉は出版会社の社長で、家族は妻のみどり、長男の医大生雄吉、少々ひねくれ者だが自由奔放な次男信次、それに足のわるい娘のくみ子。女子大生倉本たか子は、くみ子の家庭教師であり彼女のアパートの隣室に、高木トミ子と一人息子の民夫が住んでいた。ある日、父の玉吉と話をしていた信次は、ふとしたことから自分が父と柳橋の芸者との間に出来た子であることを知った。数日後くみ子はたか子を誘ってある喫茶店に行った。彼女はくみ子の夢中になっているジャズシンガーが、民夫なのでびっくりした。正月の元旦、信次はたか子の話からトミ子が自分の実母であると感知して、アパートをたずねた。しかしトミ子は不在で、留守居の民夫は裕福そうな信次に反感を抱いて、彼を部屋に入れようとしなかった。母のみどりは信次のことを心配して、やさしく彼をなぐさめた。信次の心の中には、たか子への愛情が芽生えていたが...
鈴木清順監督が「けものの眠り」に続いて長門裕之とコンビを組んだセミドキュメンタリー・タッチのアクション映画。ライバル同士の新聞記者二人が、国際密輸組織の内幕を暴くべく潜入する。清順独特の斜めの構図を主体にした凝ったカメラ・アングルが見もの。
日活お得意の西部劇風無国籍アクション。主演はダンプガイ・二谷英明。監督は日活の鬼っ子・鈴木清順。散弾銃を持った流れ者が天竜川の大森林地帯で3悪人と対決し、恋人の仇を討つ。編中、二谷が小林旭ばりにギター片手に唄う、いささか珍妙なシーンがある。アクションの快感と西部劇パロディ調のおかしさが奇妙に混合した一編。